前回9月定例議会の文教委員会に続き、11月21日に開催された文教委員会で、「文の京」自治基本条例に定めた区民の権利(「知る権利」と「参加する権利」)を守るため、「教育委員会に住民の声を反映させる定例会運営の仕組みをつくる方法」について質問・提案しました。
今回取り上げたのは、文京区教育委員会の定例会の意思決定方法です。
前回9月の文教委員会では、教育委員会第8回定例会(8月8日開催)1の「教科書採択」の決定方法が曖昧で、住民に理解しづらい点を指摘し、定例会の慣例だった「全会一致による決定」と、法律に定める「多数決」の2つの意思決定方法が、明確に区別されていない問題を明らかにしました2
今回は、「全会一致」と「多数決」の2つの決定方法について、教育長の認識を確認したのち、「レイマンコントロール」3を謳う教育委員会として、住民の声を反映させるための定例会の運営方法の見直しを求めました。
レイマンコントロールが目指す「住民による統制」は、どうすれば実現できるのか?
今回の委員会では、以下のようなやり取りを行いました。
②教育長が独断で議論を誘導したと誤解されることのないよう、欠席委員の意見の取り扱いを予め決めておくべきでは?
②欠席委員が事前に勉強して意見を送ってくれたので当日紹介したまで
教育長は、法律に定める「多数決」を例に挙げて説明しましたが、実際の定例会では慣例の「全会一致による決定」が続いており、その場の教育長の判断で意思決定方法が決まっているのが現状です(「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」には意思決定方法の決定権についての規定がないため、教育委員会の判断で決めるほかありません)4
文京区は2003年に、住民の①知る権利と、②参加する権利の2つの権利を「文の京」自治基本条例の基本理念に定めました。5
区と教育委員会は、どちらも執行機関として、この理念の実現のための対等な決定権と責任を持っています。
今回の質問で取り上げた、教育委員会の「住民の声を反映させる仕組み」についても、次回2月の委員会でさらに深掘りしていきたいと思います。ぜひ傍聴においでください6。
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- 文京区教育委員会の定例会等の会議録は以下の文京区HPをご覧ください。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kyoiku/kyoiku/kyouikuiinkai/kaigiroku.html - 質問で取り上げた「教科書採択」の議論は、以下の令和5年第8回定例会会議録の「道徳」の教科書に関するもの(pp.39-56)です。各委員と教育長の意見にもご注目ください
https://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0288/6395/5_8tei.pdf#page=40 - 「教育行政におけるレイマンコントロールとは、『教育行政の官僚統制』にとって代わるべき仕組み、教育行政の主体における『官』から『民』への移行を意味するものであり、教育を職業としない、地域住民を代表する人々の合議(審議と決定)を通して教育行政を行うという考えであり、『素人統制』というよりも『住民統制』というべき仕組みであり、文字通り『草の根民主主義』の表れにほかならない」(堀和郎・柳林信彦 (2009)『教育委員会制度再生の条件』p.176)
- 教育委員会の定例会に関する規定は、以下の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第14条をご覧ください
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331AC0000000162#Mp-At_14 - 「文の京」自治基本条例に定めた区民の2つの権利については、以下の私の基本政策をご覧ください
http://sawadakeiji.jp/policy1/ - 11月21日の文教委員会の議事録(速報版)は以下の区議会HPをご覧ください(開会日から3週間後に公開)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/iinkaikiroku.html