インタビュー #2

未来を生きる子どもたちに選ばれる議員になるために

区政への挑戦の経緯や決意を答えた前回のインタビューに続き、新しいスタートへの抱負や初めての議会活動、開かれた自由な議会への道すじなどについてお話ししました。

生活と政治をつなぐ
――もっと開かれた自由な議論の場に

――当選してからこれまで、いかがでしたか?
初めてのことが多く、分からないことばかりでした。議会での質問の仕方から職員食堂の使い方まで、先輩議員や職員のみなさんが教えてくれたおかげで、なんとかやってこられました。

――食堂があるんですか?
区役所の13階にあって、平日のランチタイムは誰でも使えます。ラッシュアワーを外せば空いているので、子連れやグループにもおすすめです。

――他にはどんなことを?
新人研修では部課長から直接、各部署の事務や課題について教わりました。公務員というと真面目で堅いイメージがありますが、実際は一人ひとり個性的で面白い人たちです。

――先輩議員はいかがですか?
それぞれに専門性や経験があります。議員も堅いイメージがあるかもしれませんが、みんな気さくでおしゃべり好きです。区役所の22階に控室や応接室がありますので、気軽に相談にお越しください。

――新人議員は?
今期は新人が多く、お互いに聞きあえたので助かりました。新人は議会の慣例が分からない反面、フラットな感覚で判断ができます。初心を忘れず、まっすぐに経験を重ねていきたいと思います。

――抱負があれば教えてください。
説得力のある質問や提案で区政を動かすには、生活に根ざした地域の課題を広く知る必要があります。どこにでも出かけ、たくさん課題を発見し、大勢の人と対話を重ねること。生活と政治を、区民と政治家をつなげること。経験と勉強を重ね、議会をもっと開かれた自由な議論の場に変えたいと思います。

――開かれた自由な議会ですか?
まっとうな政治にはまっとうな議会が必要です。人を大切にすること。今の社会環境に適応できない人を守ること。変化の時代には、適応性の強い人たちばかりの均一な集団はハイリスクです。強弱や利害を越えて多様で個性的なチームをつくり、損得や効率に偏った単一的な価値観を覆す。挑戦はこれからです。

学び、考え、問い直す
――「知る権利」を守るために

――はじめての定例議会はいかがでしたか?
資料や議事録を調べたり先輩や部課長に話を聞いたり、毎日が新しい勉強でした。知れば知るほど分からないことも増え、議員の仕事の奥深さを実感しました。

――本会議で代表質問もされたそうですね。
会派を代表して区長や教育長に質問しました。持ち時間を全部使い、思い切って区政への思いを伝えました。このときの映像はインターネットでも配信されていますので、ぜひご覧ください。
★本会議の一般質問の動画は「文京区議会インターネット中継」のwebサイトをご覧ください

――いつでも見られるんですか?
本会議の一般質問と区長の所信表明が見られます。委員会も会議録が公開されているので、どこでどんな議論がされたか分かります。キーワードや発言者で検索できるので、気になるテーマや議員の過去の発言も調べられるんです。
★本会議や委員会の会議録は「文京区議会会議録検索システム」のwebサイトをご覧ください

――全部ですか?
会議録は逐語ですので、やり取りがそのまま公開されます。議員によるスタンスや考え方の違いのほか、区議会の現状も把握できます。

――どのくらい読みましたか?
議論の経緯を知っていれば鋭い質問ができます。他の委員会も議論を押さえて傍聴すれば有意義なので、できる限り目を通しました。ネットで公開されていない会議録も議会図書室に開架されているので、気になる議論をさかのぼって調べるのに重宝しました。

――議会図書室はどこにあるんですか?
控室と同じ区役所の22階です。議会関連の書籍や新聞も揃っています。過去の区の事業評価や特別区間の比較調査結果など、他では見られない資料もあります。行政情報センターと同じで、申請すれば誰でも利用できるんです。

――情報センターはどちらですか?
2階です。区の刊行物や資料が見られるほか、区民相談も受け付けています。区の情報は公開が原則ですから、請求すればどんな資料でも見られます。紙のコピーは一枚10円かかりますが、電子データであればDVD一枚100円で済みます。電子申請もできるので、気になることや知りたいことがあったら、ぜひご相談ください。
★情報公開制度については文京区のwebサイトをご覧ください

――インターネットでも申請できるんですか?
私もはじめは知りませんでした。区のサービスはたくさんあり過ぎて、多くの人は知らないことばかりと思います。身近な問題以外は触れる機会もありませんよね。政治を身近にするためにも、開かれた情報発信が大切です。

――開かれた自由な議会ですね。
本来、区の情報は区民の情報です。情報の透明性は民主主義の根幹ですし、政治への信頼にも欠かせません。慣例にとらわれず、必要な情報を誰もが得られる環境を整えるのも議員の大切な仕事です。

――「知る権利」ですか?
よりよく生きるには、まず知ることが大切です。偏った情報ばかり与えられると考える力を失ってしまうからです。そうならないよう憲法で保障しようというのが「知る権利」です。学び、考え、問い直す。まっとうな政治を実現するには、一人ひとりが自分で考え、行動する習慣を取り戻すこと。知る権利を守り、開かれた自由な議会を実現するのが不可欠です。

政治の主役になる
――本来の地方自治に立ち戻るには

――議会の「請願(せいがん)」について教えてください。
請願権は、憲法に定められた基本的人権のひとつです。国や地方自治体に希望や苦情を申し立てる権利で、住民の政治参加の手段としても大切です。

――どのような手続きが必要ですか?
地方自治法の定めで、議会への提出には議員の紹介が必要です。請願書に必要事項を記入し、紹介議員に賛同の署名をもらって、定例議会初日の2日前までに議会事務局に提出します。
★請願の提出方法は区議会のwebサイトをご覧ください

――提出したあとは?
内容に応じて関係する委員会に付託されます。委員会では、願意の妥当性や実現可能性を中心に審査が行われ、採択の可否が判断されます。判断は会派ごとに行うので、それぞれの賛否も分かります。

――会派ごとの判断理由もですか?
そうです。賛否の前に会派ごとに理由を述べるので、傍聴すれば会派の考え方やスタンスが分かります。会議録も公開されますし、ホームページや情報センターで過去の請願の審査結果も調べられます。採択の可否は議会の構成によりますが、不採択でも区民や行政に問題提起できますし、議会の多数派や首長の考え方も分かります。
★本会議や委員会の審議は誰でも傍聴できます。傍聴の手続きと区議会の日程は区議会webサイトをご覧ください

――請願は誰でも出せますか?
はい。未成年でも外国人でも法人でも大丈夫です。請願を出すことで不利益を被らないことは、憲法にも請願法にも定められていますし、氏名や住所は非公開にもできます。

――未成年もですか?
参政権と違って年齢や国籍の制限がないんです。中学校や高校の授業で議員から請願の仕組みを学んだり、子どもたちが請願書を出したりすることで、主権者教育に取り組んでいる自治体もあります。

――子どもたちの政治への関心も高まりそうですね。
自治体によっては請願者本人が委員会で趣旨を説明できます。委員から質問もできるので、住民からの政策提案に活用できます。議員が地域の課題を学ぶチャンスにもなりますし、住民の参加で開かれた議会を実現する新たなチャレンジのひとつと思います。

――開かれた議会への挑戦ですね。
住民の力があれば、もっと公正で透明な議会を実現できます。地方自治の理想は住民の自治です。住民が主権者として、自分たちの力で自分たちの自由と平和を実現する。そのために住民の権利を守り、勇気づけるのも議員の大切な仕事です。国政とちがって議員と首長の両方を選挙できるのもそのためです。

――議会と首長の「二元代表制」ですか?
住民に選ばれた議員と首長が、対等な立場でチェックし合うことでバランスが保てます。ただし、首長が強大な行政組織のトップであるのに比べて議会は少数ですし、首長を擁護したり忖度したりする議員もいます。議員が議会の権能を侵されても抵抗しなかったり、首長にすり寄って利益を得ようとしたりすると、本来の二元代表制が機能しなくなります。

――どうすれば本来の姿に戻れますか?
鍵は住民の力です。住民が議会をチェックし、意見や政策を提案することで首長と対等な関係が実現できます。主権とは政治のあり方を決定する権利であり、政治の主役として物を言う権利です。本来の主権を取り戻すためにも、住民と議会が知恵と力を合わせる必要があります。

ロールモデルをつくる
――不信と不満の構造を打開するために

――議会の役割について教えてください。
住民の自治には、議会による監視が欠かせません。行政は首長の強い権限と大きな組織に支えられていますが、何でもやっていいわけではありません。権力が住民のために行使されているか、日常的にチェックをするのが議会です。

――議会のチェックですか?
議会のチェックが働けば、問題が起きたときもすぐに軌道修正できますし、問題を未然に防ぐ抑止力にもなります。同じく、議会のチェックが正しく機能するには、住民による監視も欠かせません。

――住民が議会をチェックすると?
選挙で選ばれたからといって、議員もやはり何でもやっていいわけではありません。国政でも嘘や隠蔽など、政治家の言動がたびたび問題になりますが、権力を手にすると誤解する人もいます。選んだあとも常にチェックが必要です。

――権威主義のチェックですね。
権威主義は弱肉強食の論理です。力の有無が重視されると、弱者への配慮が失われます。力を失うのを恐れると、弱みも人に見せられなくなります。弱さを隠して強者に媚びるか、権威にすり寄るほかなくなってしまうんです。本当のチ―ムは、互いの弱さを認め合うところからしか生まれません。

――本当のチームというと?
弱いもの同士が支え合い、補い合うからチ―ムなんです。反対に、強い権力には依存性があります。短期的には得をしても、長期的には支配が強まります。依存する側とされる側の非対称な関係が固定化し、自由や主体性も失われます。

――いわゆる共依存ですね。
支配されないためには依存先が複数必要です。単一の強固なつながりよりも、多様でゆるやかなつながりです。権力者はつながりを制限することで相手を支配します。いろんな人がそれぞれにつながり合っているチームの方が、自由に能力を発揮できるからです。

――議会の状況はいかがですか?
数は力という考え方が優勢です。多数決が合理的と考える人や、多数派に従うのが得策と考える人が多いからです。実際は、多数決は民主的じゃないし、多数派に迎合しても短期的な利益しか得られません。

――政局や議会構成が変われば変わりますか?
構造的な問題は変わりません。そのままでは政局が変わっても新しい多数派が再生産されます。数の論理が優勢な限り、権力が欲しい人は多数派を求めるからです。目先の利益を求める考え方や構造を、根本から変える必要があります。

――具体的には?
数の力を行使したり奪い合ったりするのをやめて、一人ひとりを尊重すること。そして、区民にもその大切さを訴えることです。選挙の争点は主に政策ですが、議会の課題や改善策も共有すべきです。どうすれば構造を変えられるのか、共感する区民や議員を増やすことが先決です。

――選挙でもですか?
数の論理が優勢な理由の一つは、得票につながるからです。徒党を組んで戦う多数派に比べて、少数派は劣勢です。勝ち馬に乗りたい有権者が多数派に投票すると、権力に近い立場の人が選ばれて数の論理を助長してしまいます。

――選ぶ側の問題ですね。
政治家の非常識な言動が見過ごされるのは、権力を敵に回すと割を食うという打算が働くからです。打算は短期的な利益しか生みません。こんな言動を許したら未来はどうなってしまうのか。長期的な視点で選ぶ必要があります。

――どんな人が選ばれるべきでしょうか?
権威より人を大切にする人、弱者の視点と誠実さをあわせ持つ人です。自律的な判断基準を持ち、権威に反対してでも人権を守れる人です。社会や経済が流動化し、利害関係が複雑化するなかで、次世代のリ―ダ―は、自分と意見や立場の違う人の利益も代弁できる人でなくてはなりません。

――立場の違う人の利益ですか?
多数決では少数意見を無視できます。特に、自分は力があって正しいと信じている人は、違う意見や立場の人を否定しがちです。意見や立場が違う人と付き合うのは面倒だし、手間もかかりますが、これを受け入れる寛容さが一番の資質と思います。

――私たちにできることはありますか?
議員は票をくれる支持者を優先しがちですので、関係が固定化して、全体の利益を損ねていないかチェックが必要です。反対に、議員を票で釣って利益誘導を迫ったり、関係を制限して支配したりしていないかのセルフチェックも必要です。

――今後はどうあるべきでしょうか?
社会が流動化した一方、技術革新で個人のできることは広がりました。集団や権威に従うより、一人ひとりが人生を切り開いていく時代です。生活や政治を人に委ねるのではなく、自分で考え、判断し、行動すること。そんな日々の積み重ねの先に、本来の生き方や社会があるのだと思います。

――議会はいかがですか?
議会は監視機関であり、意思決定機関です。住民の代表として首長や行政を監視し、自治体の最終意思を決定します。議員が依存や追認をやめ、住民の立場で主体的に意思決定すれば、議会も本来の力を発揮できます。

――議員の主体性が要ですね。
議員は課題もやり甲斐も多い仕事です。国会は停滞しがちですが、区議会は一人ひとりの議員の力で変わります。議員が一人変われば、区政に改革の一石を投じられるんです。誠実で主体的な市民と政治家の対等なパ―トナ―シップが、区政を変える原動力です。

――本来のまっとうな政治ですね。
前回のインタビューでも述べましたが、地方自治は民主主義の学校です。区政が変われば他の自治体にも波紋が広がり、地方自治が変われば国政にも変革のチャンスが訪れます。身近な地方議会への関心を深め、開かれた自由な議会を実現することが、本来のまっとうな政治を実現するための最善で最良の選択肢と思います。

――最後にメッセージがあれば。
政治への不信や不満のほとんどは構造的な問題です。政治なんて役に立たない、面白くないと思う人は、なんでそう感じるのか、立ち戻って考えてみることが大切です。私たちと政治の関係が元に戻れば、政治家を志す人が増え、社会に秩序と統合を取り戻す原動力になります。未来を生きる子どもたちが当たり前に政治を志ざせる、そんなロールモデルをつくりたいと思います。

▼インタビューの続きはこちらをご覧ください
#3 誰もが政治の主役になれる社会をつくるために
コロナ危機による変革のチャンスやボトムアップの政治参加の方法など

▼過去のインタビューはこちらをご覧ください
#1 子どもたちが当たり前に政治を志せる社会をつくるために
これまでの道のりや政治にかける思い、新しいスタートへの抱負など