令和4年11月定例議会の本会議で、会派「立憲民主党・無所属文京区議団」を代表して区長に質問しました。
私たちは、立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守り育て、人間の命とくらしを守る、区民が主役の会派です。
「自由」と「多様性」を尊重し、支え合い、人間が基軸となる「共生社会」を創り、「国際協調」をめざし、「未来への責任」を果たすことを基本理念とし、一人ひとりの日常のくらしと働く現場、地域の声とつながり、明日への備えを重視し、区民の期待に応えうる会派として、この基本理念を具現化する強い決意を持って会派を結成しました。
この理念は文京区の憲法ともいわれる「文の京」自治基本条例に謳われる協働・協治の理念と同一であり、その実現には、区民と区長と議員が協働し、議論と行動を重ね、主体的に政策を提案する二元代表の一翼としての議会の存在が不可欠です。今回の一般質問も個人や会派の意見だけではなく、大勢の区民や議員のみなさんと一緒に、問題をオープンに議論し、よりよい文京区の未来への提案につなげることが目的です。以下に質問と答弁をQ&A形式(※1)で整理し、答弁に対する意見や提案を添えました。今後もみなさんと一緒に議論を深め、よりよい提案につなげていきたいと思いますので、ご意見やご感想をお寄せください。
また、当日の様子は文京区議会インターネット中継のサイトに動画で公開されています(※2)ので、あわせてご覧ください。※1 文京区議会の本会議一般質問は一括質問・答弁方式です。質問と答弁が30分ずつ連続するため、一問一答方式と比べて対応が分かりにくいのが課題です。
※2 本会議一般質問の生中継のほか、一般質問最終日から4日程度で録画中継を公開します(議員名や日程で検索できます)。なお、現在は年4回の定例議会の本会議一般質問と区長の施政方針・所信表明だけで、委員会などは中継していません。
1 区政の総括と今後の見通し
1.1 区長マニフェストの評価とその根拠
1.1.1 区長は選挙のたびにマニフェストをまとめ、公表してきたが、
今期のはじめの2019年に公表されたマニフェストの達成度は?(中間評価、自己評価)
区長:マニフェストは文京区長としてではなく、政治家(候補者)として示しているもののため、就任当初から一貫して、議会に対して考えは示していない。
1.1.2 マニフェストの構成と各項目の評価について、
マニフェストの冒頭に掲げた約束は実現できているか?また、就任にあたっての所信は実現できているか?マニフェストに例示した過去20年間の人口と区税収入の増加は、所信で述べた区民が「住んでいてよかった」「これからも住み続けたい」と実感できるまちづくりにどうつながっているか?
区長:コロナ禍でも安定した区税収入に支えられ、感染拡大防止策や生活・経済復興策、「文の京」総合戦略に掲げる主要課題の解決策等を展開できている。この間も人口増加は続いており、「選ばれる自治体」として、基本構想に掲げる将来都市像の実現に着実に進んでいる。
1.1.3 初当選時のマニフェストでは、
子育て世帯を中心とする新しい住民と長く住んでいる住民の双方のニーズを的確に把握して政策を立案すると述べているが、近年の人口の増加は一見すると、保育園や遊び場の不足による保育・子育て環境の悪化や小学校の教室不足による教育環境の悪化などにより、長く住んでいる住民が不利益を被る、つまり、「住んでいてよかった」「これからも住み続けたい」と実感できなくなる問題につながっているように思えるが?
区長:子どもや子育て世帯に関する課題も高齢者を含む地域全体の課題と捉えており、生産年齢人口を中心とした納税義務者の増加が全ての世代への施策を支えていると認識している。
1.1.4 2つの視点「SDGs」と「Society 5.0」について、
マニフェストに掲げた「「文の京」の”価値”を広げ、暮らしの先に未来が見える都市の実現」はできているか?SDGsの基本原則「誰ひとり取り残さない」の実現のためには、世代間や新旧住民間の協働の橋渡しが特に重要な行政課題では?
区長:SDGsとSociety5.0は中長期的な目標であり、「文の京」総合戦略にその視点を取り入れている。住民間や世代間の協働は重要であり、町会と中高層共同住宅の合同防災訓練や社協と連携した多世代交流の居場所づくりに取り組んでいる。
1.1.5 7つの政策的課題に向けた取り組みについて、
「文の京」自治基本条例では、地域社会の課題解決の原則は「住民自治」とされている。2007年版マニフェストの行動理念にも、「行政が全てのサービスを常に正しく提供しているという思い上がりを捨て、新たな官民の自立した関係の構築に努める」「煙山区政が築いた協働協治の区政をさらに進め、区民とガップリ四つに向き合う」と書いているが、実現できているか?
区長:基本構想を貫く理念として「協働・協治」を推進して地域課題の解決に取り組んできた。区が開催する協議会等でも区民委員から意見をもらい、区民に最適な施策につなげてきた。政策立案・実施・評価への区民参画や各主体の独自性・自主性を尊重した地域課題の解決にも取り組んでいる。
1.1.6 計画期間が10年の文京区基本構想については、
2007年版マニフェストの「基本政策の実現のためのロードマップ」のとおり、区民を中心とした協議会を立ち上げ、区民自らが学び、考え、話し合う、徹底した区民参画により2010年に改定した。このような取り組みを今後もマニフェストで取り上げては?
区長:政治家成澤廣修の選挙公約としてのマニフェスト作成に議員が関与することは、二元代表制の下で好ましくないと考える。
1.2 区長マニフェストの今後の見通し
1.2.1 2期目の2011年版マニフェストの公表にあたっては、
1期目のマニフェストの第三者評価を受けて達成度を公表し、あわせて評価に基づく課題と改善目標も公表した。今期のマニフェストの課題や改善目標はどう扱うか?また、マニフェストは一般に、公約にその根拠となる数値目標や実施期限を添えたものと言われる。2015年版マニフェストのように今期も改善目標を設定しては?
区長:マニフェストは文京区長としてではなく、政治家(候補者)として示しているもののため、就任当初から一貫して、議会に対して考えは示していない。
1.2.2 自治体の首長の多選については、
一般に、時間をかけないとできない政策も腰を据えて遂行できる反面、自ら期限を設定しないと優先順位を決められないうえ、組織が硬直化してイエスマンが増え、政策の遂行が滞る弊害もあると言われる。首長の多選自粛を努力義務とする自治体は国内にも複数あり、海外では「権力者は期限付きであるべき」という思想のもと多選制限を設けている自治体もあるが?
区長:首長の多選についてはメリット・デメリットに広範な意見がある。条例で一定の制限を設けている自治体もあるが、適否は一概に判断できず、自治体の個別の状況を踏まえ総合的に検討すべき。
1.2.3 多選の弊害への対策は、
多選の制限以外にも考えられる。具体例を挙げると、①住民参加を進めれば、首長主導の独断型の意思決定を回避でき、たとえ自己の政治力を過信した首長が住民や職員との遊離に気づかなかったとしても、その弊害を最小限に抑えることができる。また、②議会が十分に機能すれば、首長の独断決定を阻止でき、たとえイエスマンの職員が議会の介入を避けるために不都合な情報を隠そうとしたとしても、情報開示を求めて検証することができる。加えて、③常設の実施必至型住民投票条例があれば、4年に一度の選挙以外でも住民の意思を反映することができ、たとえ首長も議会も十分に機能しなかったとしても、住民が行政を監視することができるが?
区長:区民参画は区が開催する協議会などでの区民委員からの意見によって、情報開示は情報公開条例にもとづく適切な情報提供と開かれた区政の推進によって実施している。住民投票制度は自治基本条例に規定を設けているが、区や区議会の決定と区民の意思が大きく乖離した場合などに用いる制度であり、慎重に検討すべき。なお、議会の機能強化は議会で議論すべき。
★「3 SDGsの視点を活かした自治体経営と政策的課題」の質問・答弁は後日公開します。