立憲民主党インタビューの続編をお送りします。
今回の内容は、まちづくりと生活文化についてお話しした部分です。ご覧ください。
★前回のインタビュー内容はこちらをご覧ください
INTERVIEW#10 文京区担当政策委員 沢田けいじ
「開かれた地域コミュニティを次世代につなぐために」
――地域のまちづくりにも関わってきたそうですね。
はい。自宅の周辺が狭い路地や古い木造住宅が立ち並ぶ木造密集市街地なんです。人情や情緒があっていい反面、災害危険度が高く、どうすればこの町をよい形で残していけるかを考えるようになったのがきっかけです。
――いつ頃からですか?
6年前に地域のまちづくり協議会が立ち上がってからです。住民と行政が一緒にまちづくりを考え、地区計画をつくることが目的の会でしたが、どうしてもハード面の議論が中心になってしまい、住民参加も低調でした。
――ハード面というと?
路地の拡幅や古い木造住宅の建て替えが議論の前提になってしまうんです。実際は、コミュニティの活性化や自主防災組織の強化など、ソフトの課題もたくさんあるんですが、十分に議論できませんでした。地区計画などの都市計画制度による問題解決の限界も感じました。
――他の方法を考えたのですか?
はい。同じ問題意識を持った協議会のメンバーと一緒に勉強会を立ち上げました。行政主導ではなく住民主導のまちづくりの方法について、自分たちで学び、発信し、仲間を集めるために、定期的に勉強会を開催し、地域や近隣の大学に広く参加を呼びかけました。
――どのようなメンバーが集まりましたか?
住民やツーリスト、まちづくりの実践者や研究者、学生など、いろんなメンバーがゆるやかに集まり、それぞれが話を聞きたいゲストを呼んで勉強会を企画しました。歴史、観光、祭、外国人、アート、道路、公共空間など、テーマは本当にさまざまで、まち歩きやインタビューも交えて、楽しみながら活動を続けています。
――道路や公共空間もまちづくりのテーマなんですね。
ええ。ちょうど町の中心に日曜祝日が歩行者天国になる道路があり、昔からお祭りや地域イベントに活用されていたんです。メンバーから「せっかくだから、この道で何かやりたい」という声があがり、手づくりの映画会やストリートマーケットを開催しました。
――路上での映画会ですか?
はい。町会の役員さんから、「昔は映画会も運動会も、みんなこの道でやったんだから」と伺い、それならぜひと協力をお願いしました。快く引き受けてくれて地域の子どもたちも喜び、昔から住んでいる人もそうでない人も、一体感を感じられる楽しいイベントになりました。
――まさに地域コミュニティの活性化ですね。
ええ。道路というオープンな公共空間がよかったのだと思います。誰もが気軽に立ち寄れて、しかも、誰のものでもない。こういう場では、大人も子どもも、関わり方がオープンになるんですね。昔から下町に受け継がれてきた暮らしの文化とも共通する部分と思います。
――オープンな暮らしの文化ですか?
コミュニティというと閉鎖的なイメージもありますが、本来はオープンなものですよね。絶えず新しいメンバーを受け入れ、更新していくことで、初めて継続性が担保されます。メンバー同士の関わり方や暮らし方が開放的であれば町の雰囲気もそうなりますし、そこに惹かれてオープンな考え方の人が集まってきます。公共空間の活用が町の継承につながった、ひとつのケースと思います。
――コミュニティの継承ですね。
今は町会という地域の自治組織ひとつをとっても、継承が困難な時代です。メンバーが減り、閉鎖的になれば、継続は絶望的です。少子高齢化の時代に自治組織を維持していくためには、過去に囚われないオープンな方法で、地域に関心や愛着を持ってくれる人を探し、育てていく必要があります。ひとりでも多くの人に、大事にしたい特別な場所と思ってもらえることが大切と思います。