地方議員の主戦場ともいわれる委員会。
住民に最も身近な政治の場である一方、地方自治法に定める議決権を持つ本会議と違い、その定義や仕組みはよく知られていません1。
今回は文京区議会の委員会について、その定義や種別、課題などを説明します。
1. 委員会とは
本会議だけでは扱いきれない多様な行政課題について議論する場です。
行政部門別に複数の委員会に分け、それぞれ会派を代表する委員で分担して審査します。
委員会の種類や権限は地方自治法・第109条に定められています2。
具体的には、①常任委員会、②議会運営委員会、③特別委員会の3種類があり、それぞれ本会議で付託された議案や請願を審査する権限(審査権)と所管事項を調査する権限(所管事務調査権)が認められています3。

2. 委員会の種別・所管事務と委員構成
文京区議会には現在、4つの常任委員会と議会運営委員会、5つの特別委員会のほか、議会運営委員会に付属する2つの小委員会があります4。
常任委員会は所管別の事務に関する調査と議案・請願の審査、議会運営委員会は議会運営の円滑化、特別委員会は特定のテーマについての臨時的な調査・審査を目的に設置しており、それぞれ委員の定数や正副委員長を定めています5。

3. 委員会の資料と会議録
文京区議会は、開かれた議論の場とするため、原則としてすべての委員会を公開しています(小委員会は非公開6)。
議案と資料は開催日の開会1時間前に区議会webサイトに掲載し、傍聴者には紙で配布します(閲覧用は要返却)7。
会議録もwebサイトに掲載していますが、公開は約3週間後のため、情報共有の即時性に課題があります8。

4. 委員会の傍聴とインターネット中継
文京区議会の傍聴は先着順です。
委員会は定員25人9、開会時間は10:00から17:00の間で、当朝8:30に受付開始します(定員超過の際は受付開始時に抽選)10。
なお、委員会室ではスマートフォン・PC等は使用不可(議員・職員を除く)のうえ、撮影・録音には予め委員長の承認が必要です11121314。

文京区議会は現在、予算/決算審査特別委員会以外の委員会のインターネット中継を実施していません15。
2019年には区民から委員会の生中継を求める請願が提出され、議会運営委員会で審査しましたが、「質問時間を制限しないと、委員により露出が異なり不公平16」「自由闊達な議論に支障が出る」「費用対効果に疑問がある」などの理由で委員の大半が反対し、不採択となりました17。
続いて、2023年4月の区議選で議員が5人替わり、初めて開催した6月定例議会で、区民から改めて提出された請願を全会一致で採択しました。
その後、実施方法等を幹事長会および今後の議会運営に係る懇談会で議論し、11月定例議会で区議会ICT化経費(約160万円)の補正予算を可決し実施を決めました18。
初中継は2024年2月定例議会の予算審査特別委員会で行い、生中継に加え、開催日の3日後には録画映像を公開しました19。
続いて、2024年9月定例議会の決算審査特別委員会でも中継を実施しましたが、そのほかの8委員会(4常任委員会、3特別委員会、議会運営委員会)や小委員会等の会議の中継開始時期は未定です20。
今後も誰もが知り、参加できる「開かれた議会」づくりのため、ご意見やアイディアをお寄せください2122。

5. 議会期間以外(通年議会)の委員会
文京区議会では、議会の活性化と政策立案機能の強化のため、2018年5月から通年議会を導入しています23。
年4回の定例議会(6, 9, 11, 2月)の期間以外に常任委員会を開催、緊急時には臨時議会を開催できます24。
なお、議案・請願の審査・採決は、本会議が開催される定例議会の期間に限られます。

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- 本会議や委員会など、文京区議会で開催している会議の種別については、以下のブログ記事をご覧ください。
▼どんな「会議」があるの?|沢田けいじブログ
http://sawadakeiji.jp/2022/03/14/1647/ - 地方自治法については、以下の総務省の行政情報ポータルサイトをご覧ください。
▼e-Gov 法令検索サイト|総務省
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067 - 委員会制度の概要については、以下の総務省の資料をご覧ください。
▼地方自治制度の概要(7)~委員会制度」|総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/bunken/gaiyou.html - 文京区議会の委員会については以下の条例に定めています。
▼文京区議会関係例規集 > p.35 文京区議会委員会条例(2016年4月1日改正)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/9756/bunkyokankeireikisyu.pdf#page=36 - 各委員会の所管事務と委員構成、運営の基本ルールは以下に掲載しています。
▼委員会の種別と所管事務
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/sikumi2.html#pbBlock440674
▼委員会の種類や構成議員
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/sikumi2.html#iinkai
▼文京区議会委員会運営手引き(2023年6月1日、文京区議会事務局)
https://drive.google.com/file/d/1qJmnnaQIms35lpHHxg-tcFo2ODRiFKD8/ - 小委員会の運営と取り扱いについては、こちらのブログ記事をご覧ください。
▼どんな「会議」があるの? > 3. 小委員会|沢田けいじブログ
https://sawadakeiji.jp/2022/03/14/1647/#3 - 委員会の資料と会議録は以下に掲載しています。
▼委員会資料(開会1時間前に掲載)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/siryou.html
▼委員会会議録
①速報版(終了後3週間程度で掲載)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/iinkaikiroku.html
②正式な会議録(校正後に掲載)
https://www.city.bunkyo.tokyo.dbsr.jp/ - 後述のとおりネット中継は一部の委員会しか実施していません。なお、会議録作成のための音声記録は公開情報ですので、以下の手続きに沿って情報公開を請求すれば視聴・交付できます(電子申請可。視聴は無料、交付はDVD-R1枚100円)。
なお、会議録作成後は音声記録を消去するため、消去後は公開できません。
▼文京区情報公開制度
http://www.city.bunkyo.lg.jp/kusejoho/torikumi/gyoseijoho/johokokai/seido.html - 2025年5月定例議会から、委員会室の傍聴席にリアルタイム字幕モニターとヒアリングループを設置したため座席が25→16席に減りましたが、別に車椅子スペースもあります。
- 受付方法などは以下の区議会webサイトを、そのほかの決まりは以下の傍聴規程をご覧ください。
▼傍聴のご案内|文京区議会
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/p007423.html
▼文京区議会委員会傍聴規程(文京区議会関係例規集、pp.41-42)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/9756/bunkyokankeireikisyu.pdf#page=42 - 撮影・録音したいときは開催日の3日前(土日休日を除く)までに、以下の撮影・録音承認申請書を区議会事務局にご提出ください。
https://drive.google.com/file/d/1E4Gnjy5vqVsj_z-bldePQS_ne64ThwQB/ - 傍聴者や傍聴議員等の情報通信端末の取扱いについては、以下の申し合わせで定めています。
▼委員会への情報通信端末の取扱いについて(文京区議会申し合わせ事項集, p.20)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/9756/mousiawasezikou2.pdf#page=21 - 全国都道府県/町村議会議長会は2024/25年に「標準議会傍聴規則」を改訂し、「傍聴席で電子機器を利用できる」と定めましたが、全国市議会議長会は各市議会に判断を委ねたままです。
詳細は以下のweb記事をご覧ください。
▼【変わる議会傍聴①】地方議会の標準規則が半世紀ぶり大幅改訂 デジタル活用や多様な人材参画促す|生活ニューコモンズ(2025年2月24日)
https://s-newscommons.com/article/6915 - 2025年6月定例議会に傍聴者の情報通信端末の使用許可を求める請願が提出されましたが、同年6月10日の議会運営委員会での審査の結果、「傍聴者が撮影して不公平な切り取り配信をする危険がある」「傍聴者自身の端末か議会貸与の端末かなど使用ルールの検討が必要」などの理由により、反対多数で採択されませんでした。
- 本会議と予算・決算審査特別委員会のインターネット議会中継については、以下の区議会webサイトをご覧ください。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/tyukei.htmlなお、本会議の一般質問は、事前に提出した質問の原稿を読み合わせるだけで、委員会のような生の議論の機会がありません。こうした課題とその解決策については、以下のインタビュー記事をご覧ください。
▼透明で開かれた区議会から自治と民主主義を立て直す|インタビュー #4
http://sawadakeiji.jp/interview4/ - 文京区議会の委員会では、議論の充実と区政運営の監視・牽制のため、委員の発言時間や回数を制限していません。予算・決算審査特別委員会についても、各委員の持ち時間は決まっていますが、一回の質問にかける時間や回数の制限はなく、各委員の裁量で議論を掘り下げることができます。
- 請願審査の経過や結果(各会派の賛否や意見)は、以下の会議録検索サイトから2019年9月17日の議会運営委員会の会議録(請願受理第26号「文京区議会インターネット議会中継に関する請願」)をご覧ください。
▼文京区議会 会議録検索サイト
https://www.city.bunkyo.tokyo.dbsr.jp/index.php/ - 実施概要は、以下の議会運営委員会(2023年9月27日)の資料をご覧ください。
▼委員会のインターネット中継
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/6995/202392793011.pdf
▼委員会のインターネット中継・予算審査特別委員会における試行
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/6995/202392793024.pdf - 2024年2月定例議会の予算審査特別委員会の初中継の様子については、以下の報告記事をご覧ください。
▼文京区議会 2月定例議会 が終了しました|沢田けいじブログ
https://sawadakeiji.jp/2024/03/23/2338/ - 2025年6月定例議会に委員会ネット中継の全面実施を求める請願が提出されましたが、同年6月10日の議会運営委員会での審査の結果、「目下検討中のため早期に始めることはできない」「現在の委員会運営では委員や会派による質問時間の差が大きく不公平」などの理由により、反対多数で採択されませんでした。
- 東京23区議会のインターネットによる映像配信や情報公開の実施状況については、以下の区議会調査結果をご覧ください。
▼23区議会の情報公開等実施状況(2022年10月20日)
https://drive.google.com/file/d/1aD5_YU5S4WIETQctq6I7ey_p6hdA7fp2/ - これに先駆けて、2020年9月に「文京区民オンブズマン」設立準備会が調査した23区議会のインターネット中継の現状と、これを受けて同会が区議会に提出した要望書・回答については、同会の公式webサイトをご覧ください。
▼区民に開かれた議会に向けた質問書・要望書(「文京区民オンブズマン」設立準備会)
http://ombudsbunkyo.blog.jp/archives/cat_167978.html - 通年議会のしくみは、以下の区議会webサイトをご覧ください。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/sikumi2/tuunengikai.html - 通年議会の目的や会議の種別、委員会の運営などは以下の実施要綱と申し合わせ事項に記載されています。
▼文京区議会関係例規集 > p.30 通年議会実施要綱
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/9756/bunkyokankeireikisyu.pdf#page=31
▼通年議会における議会期間以外の常任委員会について(実施要綱第9条第2項に定める申し合わせ/文京区議会申し合わせ事項集 > pp.25-26)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/9756/mousiawasezikou2.pdf#page=26


