令和5年度 予算審査特別委員会 態度表明(立憲民主党・無所属文京区議団)

令和5年度の予算審査特別委員会が閉会しました。
コロナ禍を経て、区民の生活のニーズや望むまちのあり方が変わり、区政にも新たな展開が望まれるなか、区民が主役のまち「文の京」の未来を占う大切な審査でした。
東京一極集中は加速し、転入人口と区税収入の増加が区の財政基盤を支える一方で、ふるさと納税による税収流出の拡大など、区民の愛着形成や当事者意識の課題が浮き彫りになっています。
再開発のタワーマンションには高所得の新住民が転入してくる一方、地価や家賃の高騰で住み慣れたまちや家に住み続けられなくなる住民が増加しています。
人口構成の変化が地域の格差や分断を拡大し、コミュニティの弱体化や災害時の共助の力の低下も危惧されています。
「協働・協治」を自治の基本理念に掲げる文京区としては、現状と課題を区民と共有し、区民との対話と議論をとおして新たな問題の解決策を見つけ出す姿勢が求められます。
私の人生に関わる大切なことは私が決める。私たちのまちの未来は私たちが決める。これは自治の基本精神です。区民に開かれた区政を実現し、区民との対等なパートナーシップのうえに地方自治を再構築する。これが区政の新たな道筋です。

会派の意見と態度表明は、以下をご覧ください。

令和5年度 予算審査特別委員会 態度表明
(立憲民主党・無所属文京区議団)

区は予算編成の基本的考え方に「課題解決に向けた戦略的な施策の展開」を掲げています。
課題とは問題を把握してその解決のために具体的に取り組むことです。
また、問題とはあるべき姿と現状のギャップをさすものです。

区は子ども、高齢者、障害のある人、外国人をはじめ地域社会を構成する様々な人たちの人権を尊重し、差別的取り扱いのない質の高いサービスを提供できるよう、積極的に取り組んでいくことを掲げています。
つまり、区民が多様な生き方を選択できるというあるべき姿と現実のギャップが生じていないか、区は常にアンテナを張る必要がありますが、今回の審議ではギャップに気づいていると言い難い答弁も多数ありました。

たとえば、

①人口施策としては転入住民ばかりに目を向けず、これまで通り住み続けたいと願う人が、安心して住み続けられるまちづくりを推進することが重要です。
が、住み続けたくても住み続けられない人がいるという問題には気づいていないことがわかりました。

②公共施設がバリアフリー法の基準は満たしているものの、その前提となるユニバーサルデザインに基づく設計がされてないことも明らかになりました。ここでもあるべき姿とのギャップがありますが、問題として捉えていません。

③学校施設は地域の核となる公共施設であり区民の財産です。また、公務員は全体の奉仕者として公共の利益を考えるのが責務です。
学校施設の増改築においても区民全体の利益に通じるよう、避難所で被災者に我慢を強いないよう設計するのが仕事のはずですが、ここでもギャップに気づいていません。

④区民の子育てと仕事の両立を実現することが子育て支援のあるべき姿です。が、障害のある子の保護者は「中一の壁」に阻まれ、仕事を辞めざるを得ない状況です。ここでもギャップは大きいですが、区は気づいていませんでした。

あるべき姿に近づくため、問題を解決するために庁内で一丸となり取り組むことを強く望みます。

改善点は、

①住んでいる人や働いている人が住み続けられ、働き続けられるまちをつくることを目標に明記すること

②ジェントリフィケーションによる住民層の変化で地域コミュニティの発展や共助の力が阻害されたり、社会的に弱い立場の人たちが排除されたりすることのないよう、区の立場を明確にすること

③民間企業主導の全面再開発ではなく再生建築など持続可能な建築手法を用いた住民主導のまちづくりにより、高齢者や障がい者、低所得者など多様な住民が暮らせる住宅の供給を増やすこと

④ふるさと納税による税収流出の課題と改善策を区民と共有し、主権者意識や納税者としての満足度を高め、ふるさと納税と同じく納税先として選ばれる施策を進めること

⑤南海トラフ巨大地震の「半割れ」のように、時間差で2回の地震が連続する場合も想定し、中高層マンションの居住者を除外する避難所避難者収容計画を見直すこと

⑥保育の質の確保に向け、不適切保育や虐待等の間違いが起こることを前提に、仕組みや指導体制を見直すこと

⑦義務教育無償の理想の実現と子育て支援を進めるため、区立小中学校の給食費を無償化すること

⑧区立中学校の校則や生徒会規約の見直しを契機に、誰もが互いの事情や立場を理解して支え合える次世代の地域社会をつくるための主権者教育を進めること

⑨区民が安心して暮らし、住み続けられるためには、区が掲げるあるべき姿と区民の現状の違いについて、もっと細やかに問題を発見する視点が不可欠ですが、今回の予算設計には欠けています。

以上、意見を付して、令和5年度介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計予算に賛成、一般会計、国民健康保険特別会計予算には反対します。

▶▶そのほかの委員会審査の内容は、こちらの文京区議会ウェブサイトから、予算審査特別委員会の会議録(速報版、終了後7日で掲載)をご覧ください。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/iinkaikiroku.html

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