立憲民主党インタビューの続編をお送りします。
今回の内容は、お祭りと防災士の仕事についてお話しした部分です。ご覧ください。
★前回のインタビュー内容はこちらをご覧ください
INTERVIEW#09 文京区担当政策委員 沢田けいじ
「祭と防災で人と町をしなやかに未来につなぐために」
――地域の防災士をされていると伺いましたが。
はい。4年前からです。町の若手が集まって、防災訓練の企画運営や避難所の開設マニュアルを作っています。どれも行政主導ではなく、私たち住民が主役なんです。おかげで町の人の防災への意識が変わってきて、訓練にもいろんな世代の人が参加するようになりました。
――主役は町の住民ですか?
阪神・淡路大震災のような都市直下型地震が起きたら、行政には頼れないんです。消防車も救急車も手いっぱいですし、住民が力を合わせて消火や救助に当たるほかありません。避難所だって自分たちで開設するんですから。
――避難所もそうなんですね。
地域の学校が避難所の場合、休日や夜間は誰もいませんよね。住民が鍵を開けて、安全を点検して、スペースを作って避難者を受け入れるんです。開設も運営も結局、同じ被災者同士で協力してやるよりほかないんです。
――どこもそうなんですか?
都も区も、基本方針は自助と共助、つまり、自己責任と住民同士の助け合いです。これは震災後の復興についても同じです。住民への情報開示や地域復興協議会などの方策は示されていますが、住民が消極的な地域では話が進まず、実現までには課題が山積みです。
――復興もですか?
都は1997年に世界初の都市復興マニュアルを公表し、全国に先駆けて復興対策まちづくりを進めてきました。大災害に対してレジリエントなコミュニティをつくるのが目的ですが、実行は区や地域に任されています。
――レジリエントなコミュニティというと?
しなやかな回復力を持つコミュニティということです。災害からの迅速な復興だけではなく、普段から住民同士が協力して地域の防災資源を再確認したり地域活動を活性化したりすることも目的のひとつです。
――復興も普段からの取り組みが大切なんですね。
災害に強い町をつくることは、コミュニティの絆を守り、自分や大切な人の暮らしを守ることと同じです。災害に備えることが、私たち住民のウェルビーイングの向上、つまり、健康で幸せな暮らしと直結しているんです。
――防災とウェルビーイングですか?
はい。住民の健康度や幸福度が高い町は、災害にも強い町ということです。町への誇りや町を大切に思う気持ちがあれば、楽しんで防災まちづくりを進めることができます。いつか必ずやってくる大災害を乗り越えて、その先の町や私たちのよりよい未来を思い描くこと。本来はとてもやり甲斐のある、創造的な仕事なんです。
――防災士になったきっかけを教えてください。
きっかけはお祭りです。町のお祭りで仲よくなった先輩防災士に、町のため一緒にやらないかと誘われたんです。「お祭りと防災は同じ」というのが彼の口癖です。
――祭と防災ですか?
ええ。お祭りや地域行事を運営するのには、大変な労力と役割分担が必要なんです。地域の人や、ときには見ず知らずの人とも、目的を共有して力を合わせなければ、成し遂げることができません。実際、地域の防災組織とお祭りの役割分担は似ているんです。神輿の通るルートだって道幅や危険箇所を考慮して決めますし、神酒所や御仮屋の設営にも空き地や公共空間が活用されます。
――確かに類似性がありますね。
お祭りには家族や友人が集まりますよね。引っ越した人たちも戻ってきますし、老若男女が一緒に楽しめます。人と人の絆をつなぎ直し、災害に強いまちづくりに一役買っています。防災というと退屈で人任せのイメージがあるかもしれませんが、本当は力を合わせて苦難を乗り越えるクリエイティブな仕事です。人をつなぎ、誰もが安心して楽しく住み続けられる町をつくるため、お祭りと一緒に世代を超えて受け継いでいきたいと思います。
(インタビューは次回に続きます)