令和3年度の予算審査特別委員会が閉会しました。
新型コロナウイルス感染症の流行の長期化が区民の生活に深刻な影を落とすなか、区民が主役の生活と経済の復興に向き合う重要な審査でした。
多岐にわたる社会経済問題が明らかになるなか、先手を打った課題解決のためには、未来を見据えた明確なビジョンと、前例や慣習に囚われない発想が必要です。
また、多様な区民ニーズに応えるには、国や都に追従するのではなく、現場の自由な議論と発想による自発的な政策立案を鼓舞するリーダーシップが必要です。
誰もが平等に共に生きる未来を目指し、区民の知恵と力を集めて困難に立ち向かう新年度とすることを強く要望します。
会派「文京みらい」の会派意見と態度表明は、以下をご覧ください。
令和3年度予算審査特別委員会 会派意見・態度表明(文京みらい)
新型コロナウイルス感染症の流行の長期化が区民の生活に深刻な影を落とし、区財政についても今後、複数年にわたり歳入の減少と厳しい財政状況が見込まれるなか、区民の命と暮らしを最優先にした、区民が主役の生活と経済の復興を求めます。
1. 新型コロナウイルス感染症対策について
①「文の京」総合戦略に、SDGsの基本理念である「誰ひとり取り残さない」社会の実現を加え、社会的に最も脆弱な立場の区民に焦点をあてる
②公助が中心になって共助を作り、自助が可能となるよう、断らない相談支援や伴走型支援を進め、個別のケースに潜む多様な問題を発見し、関係機関が連携して解決にあたる。「連携」を言葉だけで終わらせないよう、相談当事者へのアンケート評価を行う
③自殺者数のリーマン・ショック以来11年ぶりの増加と、過去最多となった児童生徒の自殺について、コロナ禍の長期化を見据えて対策を講じる
④高齢者や障害者の孤立を防ぎ、災害時のライフラインともなるICT機器やインターネット回線等の整備費用を支援する
⑤貧困問題の多様化と深刻化を見据え、見えない貧困を見えないまま支援する子ども宅食と両輪で、見えない貧困を見える化して支援につなげる新しい支援策を検討する
⑥保育の質の向上のため、小規模保育所の定員が充足しなくても運営できる仕組みと、深刻事故や虐待の発生時の対応の仕組みをつくる
⑦コロナ以前と同じ最低基準の職員配置と面積で、これまで以上のコロナ対策を余儀なくされる、保育士の処遇と職場環境を早急に改善する
2. 防災施策について
①避難者のあふれが危惧される避難所の二次的な避難所の確保と、開設に携わる職員体制の増強、緊急避難場所の円滑な運営に向けた、管理者との協議や協定を進める
②十分な知識も準備もない地域住民が、あふれた避難者の対応や緊急避難場所への避難誘導など、大勢の避難者の生命に関わる責任を負わざるを得ない状況を改善するため、職員の初動態勢を強化する
③高齢者あんしん相談センターの見守り相談員やケアマネジャーなど、福祉専門職が連携して災害時ケアプランを作成し、避難行動要支援者の避難の実効性を確保する
④見守り相談員と連携して、避難行動要支援者の自宅に家具転倒防止器具や感震ブレーカー、耐震ベッドやシェルターを設置し、在宅避難の環境整備と地震発生時の救出・救助を支援する
⑤防災職員住宅を拡充し、受入対象者を限定した福祉避難所への直接避難を実現することで、避難者の安全を確保し、避難所運営に関わる地域住民の負担や混乱を軽減する
⑥職員の区内居住率を向上し、職員がテレワークと職住近接を組み合わせた効率的な働き方を選べるよう、ポストコロナ時代の新しい福利厚生の仕組みをつくる
3. まちづくり施策について
①東京都の都市計画区域マスタープランの改定を受け、災害や感染症に対して強靭で持続可能な都市づくりの方向性と復興まちづくりの基本方針を、本区の都市マスタープランにも位置づける
②東京都の防災都市づくり推進計画の基本方針に、木造住宅の良さや路地の雰囲気など、地域の特性を生かした魅力的な町並みの住宅市街地の創出が追加されたことを踏まえ、高層住宅地の災害リスクも勘案して都市計画を見直す
③コロナ禍で始まった道路占用に関する特例措置や歩行者利便促進道路、遊戯道路、買物道路などの制度を活用し、パリ市の「15分シティ」構想に倣った車中心から人中心の都市づくりに取り組む
④2050年カーボンニュートラルを実現するため、ゼロカーボンシティを宣言すること。エネルギー基本計画の閣議決定を遵守し、ZEB基準に則り改築中の小学校等の設計変更を行う
⑤在宅時間の増加による家庭の電力消費量の増加対策として、断熱窓の設置費用など住宅断熱化の助成を拡充する
⑥小石川図書館改築に伴う竹早公園との一体的整備に際しては、新たな図書館のあり方と現行の公園やテニスコートの基準の双方が生きる設計を行う
4. 教育施策について
①児童数の増加により本郷小学校では学校図書館がなくなり、完成前の誠之小学校の教室数が既に不足していることから、新しい生活様式に対応した学校設計を検討し直す
②誰ひとり取り残さない学校給食を実現するため、学校給食における合理的配慮を保障する
5. そのほか
一般会計および国民健康保険特別会計について、会派から提出した修正案が否決されたことは本当に遺憾です。
給食費の無償化も国保の均等割の軽減も、コロナ禍の区民の暮らしを守る最優先の課題です。
区議会ICT化に伴う情報通信端末の導入経費に関しても、コロナ禍に苦しむ区民生活に鑑み、効果的かつ効率的な端末の導入とあわせて、区民に開かれた民主的な議会運営を提案しましたが、ご賛同を得られませんでした。民主主義の名のものとで法律や条例で定めたものを時々の会議の合意で覆し、互譲といいながら反対意見の少数者に譲歩を強要する議会運営は、議会の存立基盤に関わる問題です。区民の代表者として品位と名誉を保持し、自己研鑚に努め、常に区民全体の利益を行動の指針とし、誠実に職務遂行に努める、「文の京」自治基本条例に定める区議会議員の責務の遂行を、改めて強く要望します。
以上、意見を付して、令和3年度介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計に賛成、一般会計、国民健康保険特別会計には反対します。