あなたと議会をつなぐ。生活と政治をつなぐ。
前回のインタビューでは、初当選から4年間を振り返り、私たちの力で政治を変える方法についてお話ししました。
今回は、はじめて18歳になった大学生や高校生から、政治参加の方法や議員の役割についてインタビューを受けた内容をお送りします(インタビューは2023年4月に行われました)。
あなたと議会をつなぐ
――議会はなぜ身近に感じられないか?
★インタビュアー:大学1年生。好きなことは読書や宝塚観劇、好きな言葉は「一意専心」、政治についての知識はニュースで読む程度。
――どうして議員になろうと思ったんですか?
地域で一緒に火の用心をやっていた先輩議員に声をかけられたんです。議会なんて見たこともないのにと言ったら、「それがいいんだ。まっさらな目でぜんぶ見てほしい。感じたことをみんなに伝えてほしい」と頼まれて受けることにしました1。
――そうだったんですね。迷わなかったんですか?
かなり迷いましたよ。人並みに生きてきたつもりでしたが、区政や区議会を身近に感じたことなんて一度もなかったんです。生活にいちばん近い政治のはずなのに、よく考えるとおかしな話じゃないですか。それだったら、自分みたいな人にどうすれば身近に感じてもらえるか、チャレンジしてみようと思ったんです。
――実際に飛び込んでみた議会は、どうでしたか?
ほんとうに大変でした。なんでそうなっているのか、わからないことばかりなんです。はじめはわからないことだらけの理由もわからなかった。今ごろやっと、先輩に言われたことの意味がわかってきたかなという感じですね。
――どういうことですか?
内部の常識や暗黙の了解が多すぎるんですよね。何も知らない人のほうがかえっておかしいことに気づけるし、指摘もしやすいわけです。たとえば、決まった原稿を読み合わせるだけの会議とか、原稿に書いてないことは質問しちゃいけないルールとか、おかしいじゃないですか。ずっとそうだからとか、他もそうだからとか、そういうことじゃないと思うんですよね。
――どうして変わらないんですか?
自分たちのルールを自分たちで決めているから、どうしても甘くなっちゃうんですよね。そういうことにも関心のある人が少ないから、変えないとと言われる機会が少ないんだと思うんです。委員会のライブ中継が進まないのも同じ理由です。
――ライブ中継、見たことないんですが必要ですか?
国会とちがって、区議会って見たことないですよね。ほとんどの人は何をやってるのかも、何が問題なのかも知らない。実際、平日の日中に区役所でやっている議会を見に来れる人のほうが少ないわけで、それだったらリアルタイムでネット中継すればいいと思うんです。ほかには、どうすれば区議会に興味を持ってもらえると思います?
――こうやって議員さんと話す機会があればいいんじゃないですか?親しみも持てるし、つながりを実感できるから。
そうですよね。先日も近くの高校生からインタビューを受けたんですが、学校の先生が区政や区議会のことを知らなくて、誰に聞いたらいいかわからなかったそうなんです。家でも学校でも、身近に政治の話ができる人がいないと言っていました。それこそ、地元の議員の出番だと思うんですが。
――議員さんが授業で体験談を聞かせてくれたり相談相手になってくれたりしたらいいですよね。
そうすれば、その人が議会で何をしているかも気になりますよね。委員会で何を質問しているか、見てみようかなとも思うかもしれない。ネットで見られれば、もっと大勢の人が関心を持ってくれると思うんですよね。実際、23区でもあと6区だけなんですよ。委員会のライブ中継をやっていないのは2。
――私が議会で提案しますよ。確か、請願は誰でもできるんですよね?
はい。年齢も国籍も問いません。ただ、書面で出せるだけで、議会の場で実際に発言したり質問に答えたりすることはできないんです3。
――え、なんでですか?
文京区議会にはそもそも、請願者が議会で意見を述べる仕組みがないんですよ。全国では政治参加や主権者教育の一環として、議会の場で中学生や高校生が議員と議論する取り組みも増えていますが、東京23区ではまだ少数です。
――それって、高校生が請願する意味がない気もしますが。
若い人たちに関心を持ってもらうためにも、もっと誰もが当たり前に参加できる議会だといいですよね。高校生が議会に参加して、実際に区政を変えることができれば、自己効力感や社会の一員としての自覚も高まると思います。
――議員さんとフランクに意見交換できる会はないんですか?
いま区議会がやっているのは年1回の町会連合会との意見交換だけです。年4回の定例議会のあとに報告会をやったり、無作為抽出と公募でオープンな意見交換会をやったりしている議会もあるので、工夫次第でいろんなことができるはずです。
――そのほうが住民に開かれた区議会って感じがします。選挙の討論会とかもあるといいですよね。
選挙前に候補予定者の公開討論会をやってネット配信している区もありますね。ボートマッチといって、候補者の政策や公約が自分とどれだけマッチしているかを調べられるところもあります。決めるのは住民であり私たちですから、ニーズが高まれば、いろんなやり方が提案できると思いますよ。
――そもそも、若い議員が少なすぎないですか?
文京区の人口構成と比べると、議会は高齢化していますよね。ほんとうは住民にあわせて議会も多様化すべきなんですが、実際はチャレンジしやすい人が限られてしまっているのが問題です。
――誰でもチャレンジできる議会にしたほうがいいと思いますよ。そうすれば、私たちにとっても他人事じゃなくなるんじゃないですか?
議員は区民全員の代表ですからね。全員が興味や関心を持てるよう、年齢や性別で差別されず、誰もが持てる力を十分に出し切って活動できる議会をつくりたいと思います。
――そうですよ。ぜひ、私たちも身近に感じられる議会にしてください!

生活と政治をつなぐ
――なぜ私たちは政治に参加できないのか?
★インタビュアー:人との関わりが好きな高校3年生。5才から10年間、鹿児島のフリースクールに在籍し、現在は都内のサポート校に通う。
――議員の仕事ってどんな感じ?
すごく楽しいよ。毎日が充実してる分、やりたいことがあり過ぎて時間が足りない悩みはあるけど(笑)。人生をかけて仕事してる充実感があるよね。高校生活はどう?
――めっちゃ楽しいよ。いろんな人がいて面白いし、勉強になる。
僕もそうだね。いろんな人と話ができて面白いし、この年になって、自分ってこんなに人と話すのが好きだったんだって再発見できたよ。
――以前の保育士の仕事とは違う?
人のための仕事なのと、未来をつくる仕事なのは一緒かな。最近、気がついたんだけど、保育士と同じでいろんな人と学び合ったり励まし合ったりできるのも、この仕事の好きなところだね。高校の友だちとはどう?4
――いろいろだけど、なかには自分のことばっかりで、人のことなんか考えちゃいないのもいるよ。承認欲求が満たされていないから、人に依存してばかりで自立もできないし。
自分に自信がないからじゃないかな。大人にだっているよね。私利私欲というか自己中心というか。自分のためなら人が嫌がることでも平気でできちゃう感覚の人。長い目で見ると結局、自分に返ってきちゃうんだけどね。
――政治家もそうだよね。だいたい、選挙っておかしくない?選挙カーとか名前ばっかり叫んでて迷惑だし。ポスターも顔と名前ばっかり。あんなの見ても選べないし。
正直、人の名前なんて何度も聞きたくないよね。候補者はできるだけ多くの人に顔と名前を知ってもらおうと必死なんだろうけど、なりふり構わずがんばっていれば許されるという話じゃないよね。たぶん選ぶ側の視点が足りないんだと思うよ。
――普通、名前を聞いただけじゃ投票しなくない?どんな人かとか、何を言ってるかのほうが大事なのに。
大切なのは、選ぶ人がどう選びたいかじゃないかな。知らない人ばかりだから、せめて名前を聞いたことがある人をという選び方がいいのか、その人の言っていることややりたいことをよく聞いて、自分で考えて選ぶのがいいか。そもそも、誰かに選ばせられたんじゃ面白くないし、満足感がないと思うんだけど。
――そう。知り合いに頼まれたからとか、人に依存するのはもうやめてほしい。自立した大人なら当然、自分で選ぶものでしょ。もっと自分で選ぶ材料があればいいのに。
選挙のときに公約やプロフィールを印刷して配ってる人もいるよね。ホームページやSNSで発信してる人も。それを見比べて選ぶという人も増えているんじゃないかな。
――いいけど、みんないいことばかり書いてるじゃない?ほんとは会って話したいんだけど。
自分をよく見せようとして盛っちゃうんだろうね。読む方も詳しくないから、嘘を書いてもバレないことが多いだろうし。そうじゃない生の声を届けたくて、演説会や討論会をやったりする人もいるよ。事前にSNSで時間と場所を知らせてくれれば、会いに行って話すこともできるし。
――会えばどんな人かよくわかるし、嘘もつけないからね。大人もそうやって選んでほしい。
大人も選び方を考え直したほうがいいのかもね。選挙運動というとすぐ投票依頼ってなってしまうけど、ほんとうは正しい情報を伝えて、自分で考えて選べるようにすることのほうが大切なんじゃないかな。ところで、未成年だと選挙中も投票依頼できないんだって知ってた?
――なにそれ?どういうこと?
未成年は大人とちがって「○○さんに投票してください」とか言っちゃダメだって、公職選挙法で決まっているんだよ。
――意味がわかんない。選挙権が18歳からなのはわかるけど、それと関係なくない?
未成年は選挙権や被選挙権だけじゃなく選挙運動をする権利もなくて、違反すると禁錮や罰金刑が課せられることになってるんだよね。理由はまだ子どもだからちゃんと判断できないだろうってことらしいけど、考え方がそもそも時代遅れだよね。
――ひどくない?高校生もちゃんといろいろ考えてるんだって、大人に知ってほしい。
そうだよね。一応、投票依頼じゃなければ大丈夫ってことなんだけど。
――候補者への取材やアンケートはできるってこと?
そうそう。こないだも別の高校生たちにインタビューを受けたよ。候補予定の人全員にインタビュー依頼を送ったそう。
――インタビュー、どうだった?
高校生から見た選挙のあり方とかまちの未来のこととか、いろんな話が聞けてすごく勉強になったよ。区政や議会にも参加したいというので今度、みんなで議会を傍聴するツアーもすることになったよ。
――傍聴もいいけど、もっといろんなことを気軽に提案できるようにしてほしい。
東京都の都民提案制度だと、提案も投票も15歳からできるからね。豊島区や杉並区にも提案制度があるそうだし、文京区でも高校生が提案したり投票したりして、みんなで決められるといいよね。
――ほんとうは辺野古みたいな住民投票もできるんでしょ?
もちろんできるよ。ただ、そのためにはまず条例をつくらないと。
――条例?どういうこと?
住民投票をやるには条例が必要なんだよね。条例は議会で可決されないとつくれないんだよ。
――議会が否決したらできないってこと?
そう。議員のなかには住民投票に後ろ向きな人もいるからね。
――なんで?
投票のテーマや内容によっては、議会の意思にそぐわない場合があるからね。議会の意思が決まっているのに、なんで今さら区民の意思を聞く必要があるのかと。
――議会が決めたことに文句を言うなってこと?
議会は住民の代表だからね。住民投票にはお金がかかるから、議会が機能不全に陥ったときに限るべきという意見もあるんだよ。自分たちが機能不全だなんて認めたくないんじゃないかな。
――それじゃ、いつになってもできないんじゃ……
問題が起きてから条例をつくろうと思うと、そうなっちゃうよね。反対に、何かが起きる前に常設の住民投票条例をつくっておけば、議会が否決したとしても投票で決め直せるよ5。
――よかった。投票のために署名を集めたりするんでしょ?
そう。署名が何人必要かとか何歳から投票できるかとかも、条例で決められるんだよ。
――なんかちょっと楽しみになってきたかも。
それそれ。政治ってほんとはワクワクするものだよね。自分たちで自分たちの未来をつくる実感を、もっと若い人たちにも感じてほしい。
――こうやって政治を身近に感じるきっかけがあれば、私もやってみようと思うかもね。
地方自治というと大げさな気がするけど、支えているのは一人ひとりの意思や希望なんだよね。こんな風に政治を身近に感じてもらうきっかけをつくるのも、議員の大事な仕事のひとつなんじゃないかな。
――そうそう。これからもがんばってください!

▼過去のインタビューはこちらをご覧ください
#1 子どもたちが当たり前に政治を志せる社会をつくる
これまでの道のりや政治にかける思い、新しいスタートへの抱負など
#2 未来を生きる子どもたちに選ばれる議員になる
初めての議会活動の振り返りや開かれた自由な議会の実現方法など
#3 誰もが政治の主役になれる社会をつくる
コロナ危機による変革のチャンスやボトムアップの政治参加の方法など
#4 透明で開かれた区議会から自治と民主主義を立て直す
初当選から4年間の振り返りや私たちの力で政治を変える方法など


