令和2年度 決算審査特別委員会 会派意見・態度表明(文京みらい)

令和2年度の決算を審査する特別委員会が閉会しました。
コロナ禍の拡大と長期化で先行き不透明な社会経済情勢が続くなか、区政運営への影響や対策の評価と来年度の予算編成のために、極めて重要な決算審査でした。
特に、コロナ禍で格差の拡大と区民の二極化が進むなか、多様性を増す行政需要に的確に対応できたか、危機を変革の契機として、過去の前例や慣習に囚われない新しい発想で事業を展開できたかが問われる審査でした。
これからも、誰もが平等に共に生きる未来を目指し、区民の知恵と力を集めて困難に立ち向かうことを強く要望します。
会派「文京みらい」の会派意見と態度表明は、以下をご覧ください。

☆委員会の資料は文京区議会のwebサイトに掲載しています
☆委員会の会議録は3週間程度で委員会会議録(速報版)のサイトに掲載します

令和2年度決算審査特別委員会 会派意見・態度表明(文京みらい)

コロナ禍の拡大と長期化で先行き不透明な社会経済情勢が続くなか、区政運営への影響や対策の評価と来年度の予算編成のために、極めて重要な決算審査となりました。
特に、コロナ禍で格差の拡大と区民の二極化が進むなか、多様性を増す行政需要に的確に対応できたかを主眼に、以下の取組を要望します。

1. 重層型の相談・生活支援体制について

①断らない相談支援や伴走型支援体制のための庁内連携が未だに「お互いの仕事内容を知る」段階であることは残念です。縦割り行政や所管の連携不良が区民サービスの質の向上を妨げている過去20年来の課題を解決し、断らない相談支援を実現するため、迅速な体制整備を進める
②生活困窮者の住居確保のため、区営住宅の入居権のある人を待たせる体制を速やかに改善する
③区営住宅を高齢者等にとっても安全にするため、バリアフリー化に消極的な姿勢を改め、速やかに改善する
④複雑・複合化する区民の生活課題を包括的に支援するため、利用者視点の地域包括ケアシステム構築を進める
⑤庁内の全部署において、東京オリパラのレガシー(社会的遺産)としての、多様性の調和と共生社会の実現の視点で事業点検・評価を行う

2. ポストコロナの教育・保育政策について

①エレベーターを必要とする方からの「遠回りを強いられるエレベーターは差別」との要望に対して、「差別ではない」と主張し、強引に進めようとする学校施設設計の在り方を速やかに改善する
②特別支援教室の利用は「一年で卒室できる子、在籍できて2年まで」といった誤解を生む発言を学校現場が行わないよう、徹底した指導を行う
③通常学級にいる知的障害のある子どもへの学ぶ権利も合理的配慮で守る
④預かり保育を実施していない教育センター内の児童発達支援事業で、子育ての孤立を防ぐために速やかに実施する
⑤障害のある子どもを含めた就学児童の多様な放課後の居場所づくりのため、放課後等デイサービスを「文の京」総合戦略に位置付ける
⑥不登校の子どもの学びの機会を確保するため、学校内に別の居場所を確保して、子ども一人ひとりのペースで学べる環境を整備する
⑦子どもの最善の利益を守る法律相談については、相談内容を学校や教育等まで拡充する。また、子ども本人からの相談を積極的に受けられる体制。周知を進める
⑧児童相談所の一時保護所内で、男女を分けるかどうかはトランスジェンダー等の子どもの居場所を脅かすこともあるため慎重に進める
⑨保育の質と、保育士の就労環境を守るための保育従事者調査と参加型評価を活用したモニタリングの仕組みをつくる
⑩OECD「スターティング・ストロング白書2021」の自治体への政策提言に基づき、カリキュラム・マネジメントに基づく保幼小連携の推進体制を見直す
⑪教育の政治的中立性を守るため、政治と教育の関係を見直し、「文の京」自治基本条例の理念を実現する小中学校における主権者教育を推進する
⑫選挙管理委員会における選挙啓発と主権者教育の推進のための組織横断的な体制・計画をつくる

3. 新型コロナウイルス感染症対策について

①新型コロナ感染の第6波に向け、日曜・祝日等も速やかに検査ができる体制を整備する
②PCR検査センターでの検査結果を翌日に持ち越さず、即日で結果がでるよう改善する
③ワクチン接種対応で新年度に5人もの職員が倒れた人事体制のあり方を見直し、二度と起こらないよう検証と対策を進める
④コロナ禍の教訓を踏まえ、有事の危機対応と事後の検証・評価のための公文書作成と管理の基準を作成する

4. 職員の人材育成・体制強化について

①職場のパワハラ対策強化と公正で透明な人事評価の実現のために多面観察を実施し、ハラスメント防止条例や規則等の文書を整備する
②災害初動体制の強化と、職住近接の持続可能な働き方を両立する職員の区内居住者の確保に加え、複合災害を想定した避難所のコロナ対策と国土強靭化のための防災職員体制の見直しを進める

5. 持続可能な防災・まちづくりについて

①生命と安全を守る地域丸ごと耐震化戦略と、地区まちづくり協議会への参加意識と満足度の向上に基づく、誰もが住み慣れたまちに住み続けられる防災まちづくりを進める
②坂や窪地など本区特有の景観資源を活用したポストマスツーリズムの持続可能な観光まちづくりの仕組みをつくる
③パリ市の「15分シティ」構想やメルボルン市の「20分ネイバーフッド」構想を参考に、気候変動対策と区民のウェルビーイングの向上を両立するスマートで持続可能なまちづくりを進める
④2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーを積極的に導入する
⑤AEDの使用に男女差が生じないよう、女性に配慮したAEDの使用方法を周知徹底する

6. そのほか

①がんになっても誰もが自分らしく安心して地域生活を過ごせるよう、39歳以下のがん患者に対しての在宅療養支援の体制を構築する
②原発性免疫不全症スクリーニング検査の開始を見据えた費用助成を行う
③国保制度の啓発と合意形成に基づいて若年層の収納率を向上し、コロナ禍の長期化を見据えた均等割課税額の軽減と、子育て支援に逆行する子どもの均等割の免除を行う

以上の意見を付して、文京みらいは一般会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計決算は認定し、国民健康保険特別会計決算は認定しません。

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