立憲民主党のインタビューを受けました #05

 

立憲民主党インタビューの続編をお送りします。
今回の内容は、文京区に住んだきっかけと長屋の暮らしについてお話しした部分です。ご覧ください。

★前回のインタビュー内容はこちらをご覧ください


INTERVIEW#05 文京区担当政策委員 沢田けいじ
「古くて新しい支え合いの仕組みをつくるために」

――文京区に住んだきっかけを詳しく教えてください。
きっかけは大学です。先にお話ししたとおり、18歳で進学とともに故郷の松山を離れて上京し、都内の学生寮で2年暮らしたのち、3年目でキャンパスが変わったのをきっかけに、文京区に引っ越してきました。

――根津の長屋に住まわれたそうですね。
はい。大学までの道すがら、同級生だった妻とよく根津の街を散策しました。他の町と違って、どこか懐かしく親しみやすいうえ、路地に入り込むと常に新しい発見があって新鮮な気持ちになりました。通ううちにたまたま知り合った家族が長屋に暮らしており、何度かお邪魔するうちにその暮らしぶりが好きになりました。

――昔ながらの長屋ですか?
はい。関東大震災の前に建てられた築百年の長屋です。ご夫婦と子ども2人の4人暮らしで、向こう三軒両隣のご近所づきあいのなかで、子どもたちが伸び伸びと暮らしていました。家の中で二人が喧嘩を始めると、「あんまり暴れると家が壊れてしまうよ」とご近所さんが諌めるのです。こんな風通しのよい子育てもあるのかと驚きました。

――それで長屋に住むことになったと?
ちょうど二人で大学の近くに借家を探していたのです。駅前の不動産屋で物件を見て、狭い裏路地の両側に軒を並べる長屋の風情と、江戸っ子の大家さんの気さくで温かい人柄に惹かれて、すぐに引っ越しを決意しました。

――住み始めた頃はいかがでしたか?
予想もしなかったこともありました。ご近所づきあいは覚悟していましたが、まさか今の時代に勝手に上がり込んでくることはないだろうと思っていました。

――家の中までですか?
はい。近所のお爺さんが急に玄関から入ってきて、上がり框に腰かけたと思ったら、「最近の若いもんはよ」とお説教が始まるんです。訳も分からず、途方に暮れました。

――それは大変でしたね。
後になって分かったのですが、新参者の私たちの暮らしぶりを確かめに来ていたんです。回を重ねるうちにいつしか親しくなって、いろんなことを教えてくれるようになりました。

――どんなことを教えてもらいましたか?
長屋では内緒話はしちゃいけないと。壁が薄くて隣にも丸聞こえだから、こそこそ話も全部筒抜けになっちゃう。人の悪口や悪だくみもすぐにばれちゃうから、そういう人はそもそも住めないんだと。ここに住んでいる人に、悪い人はいないんだと言うんですね。

――面白いですね。他にもありますか?
よく、隣に醤油を借りに行くって言うじゃないですか。あれ、今じゃ普通は考えられないですよね。ところが、醤油はわざと借りに行くもんだって言うんです。取るに足らないものでいいから、隣に借りをつくるんだって。そうやって借りをつくって返してを繰り返すなかで、信頼関係ができていくんだって言うんです。

――それもいわば、コミュニティの流儀ですね。他にも長屋のエピソードはありますか?
長屋の人はよく猫を飼っているんですが、これが大概、何軒かを行ったり来たりしているんです。軒が並んでいるから、猫も行き来しやすいんですね。そうやって、いろんな人にかわいがられながら、それぞれの家の名前で呼ばれているんです。「うちのキンちゃんがお世話になって」「いえいえ、こちらこそいつもうちのキナコが」なんて。誰の猫かなんて、関係ないんですね。

――何かの映画で見たような情景ですね。
それが日常なんです。人の家に勝手に入って昼寝したり嵐の夜に転がり込んだり、そうやって人と人をつないでくれているんですね。猫も子どもも、小さくて弱いものが、つながりを取り持っているのだと思います。

――人と人のつながりですか?
はい。社会のグローバル化が進む反面、こうしたローカルなつながりが見直されることも増えています。開放的でお互いさまの、長屋の暮らしのような支え合いの仕組みをどうつくるか。これからの政治の大切な課題の一つと思います。

――地域の支え合いの仕組みですね。
先ほどもお話ししましたが、地方自治の目的は誰もが人生の主役になれる町をつくることです。一人ひとりが今の生き方に納得して、毎日を楽しむことが自治の基盤です。反対に、今の社会や自分の生き方に納得できないのであれば、まずは望む未来の社会を具体的にイメージしてみるのが先決と思います。長屋暮らしの流儀も、古くて新しい未来のひとつのヒントになるのではないでしょうか。

(インタビューは次回に続きます)

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